介護現場にロボット導入の「予算の壁」を解消に期待!?

政府は9月30日、「デジタル庁」の新設に向け「法案準備室」を発足させました。

デジタル改革の対象には介護領域も含まれ、介護現場からは事務手続きの軽減化や生産性の向上を期待する声が高まっています。
介護分野では、ペーパーワークを少しでも減らすために、指定申請・報酬請求の電子化、WEB上での手続きを可能とするシステムの構築などが求められています。菅総理が掲げるデジタル改革により、介護領域でどれだけICT、loT、AIの導入が進むのか、注目が集まっています。

そもそも介護現場は、深刻な人手不足

介護職員の人材不足問題があり、昨今、介護ロボットの導入を求める背景がある。
厚生労働省は、団塊世代が後期高齢者となる2025年には、より介護職員が不足する事を予測。
都道府県が推計した介護人材の需要を見ると、2020年度末には約216万人、2025年度末には約245万人が必要と見込まれる。人材確保が出来ない状況がこのまま続けば、2025年までに約50万人以上も人手が足りない。

公益財団法人介護労働安定センターが令和元年に取りまとめた介護労働実態調査によると、人材不足感が依然と高い事が分かる。
介護サービスに従事する従業員の不足感は全体で 65.3%(67.2%)と昨年度と比較してやや低下したが、訪問介護員の不足感は81.2%、介護職員は69.7%で あった。


ロボットやIoT活用による介護現場の負担軽減に期待

厚生労働省と経済産業省は次の機器を開発重点分野として支援を行っている。
今後、更なる技術開発・ICT化の導入を進められ、介護現場の負担低減と生産性の向上が期待されている。

 

移乗支援 介助者のパワーアシストを行う装着型及び非装着型の機器
移動支援 歩行支援機器、装着型の移動支援機器
排泄支援 設置位置調整可能なトイレ、排泄を予測し的確なタイミングでトイレへ誘導する機器、下衣の着脱等の排泄の一連の動作を支援する機器

見守り・
コミュニケーション

センサーや外部通信機能を 備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム、転倒検知センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォー ム、高齢者等とのコミュニケーションにロボット技術を用いた生活支援機器
入浴支援 浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器
介護業務支援 見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等の必要な支援に活用することを可能とする機器


介護ロボット導入の課題

介護現場にロボットを導入する施設が増えつつあるが、実態はまだ一部であることが調査結果から分かる。
導入する課題・問題などの理由については、全体の59.3%を占める”導入する予算がない”で圧倒的であった。介護現場にロボットを利用することへの抵抗は薄れてきており、導入するには費用面がネックである事は鮮明である。「デジタル庁」の新設には大いに期待する一方、企業側の努力がより必要である。
当社も見守りシステム”CareBird”をより介護現場に必要とされる機能向上と共にコスト低減の努力を続けて参ります。

導入している介護ロボット
見守り支援(介護施設側) 2.7%
見守り支援(在宅介護型) 0.2%
コミュニケーションロボット 1.3%
食事支援 0.0%
その他の介護支援 0.4%
無回答 17.9%
導入していない 75.4%

 

質問 該当率
導入する予算がない 59.3%
どのような介護ロボットがあるかわからない 24.9%
ケアに介護ロボットそれ自体を活用することに違和感を覚える 22.2%
技術的に使いこなせるか心配である 26.5%
誤作動の不安がある 30.2%
設置や保管等に場所をとられてしまう 27.2%
清掃や消耗品管理などの維持管理が大変である 29.9%
投資に見合うだけの効果がない 27.3%
介護現場の実態に適う介護ロボットがない、現場の役に立つ介護ロボットがない 17.7%
その他 4.2%
課題・問題は特にない 7.5%

 

※出所:令和元年度「介護労働実態調査」(公益財団法人 介護労働安定センター)
※出所:平成29年度「介護労働実態調査」(厚生労働省)